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【浜村徹三のIPM教室】
イチゴの主要病害虫のIPM(総合的病害虫管理)その2
ハダニ類の対策

 ナミハダニ(黄緑型と赤色型がある)、カンザワハダニ(赤ダニ)が主体。イチゴでは主に葉裏に寄生し表面には変化が見られないので、発見が遅れがちである。葉に網をかぶせたような状況になって気付くことが多い。発生が多いと株全体が萎縮する。発生源は苗に付着している場合が多く、周辺雑草からの侵入もある。
 発育は卵、幼虫、第一若虫、第二若虫、成虫と進むが、それぞれの脱皮の前に静止期と呼ばれる動かない期間がある。卵から成虫までの発育期間は25℃では10日程度である。乾燥すると増殖が激しい。


◆生物的防除

【チリカブリダニ】
ハダニだけを食べるエリートカブリダニで、世界的に利用されている。
25℃では6日程度で発育しハダニより速い、一日4〜5卵を産み、2〜3週間にわたって産卵を続け、一生に70卵程度を産む。性比は5:1(雌:雄)前後で雌が多いのが特徴。商品名;カブリダニPP、スパイデックス、チリトップ。放飼は10a当たり2000頭をハダニの発生場所に重点的に放す。状況によって2〜3回放す。

【ミヤコカブリダニ】
チリカブリダニよりはハダニ制御能力はやや劣るが、環境の悪化に耐える力は強い(餌不足、薬剤耐性、高温耐性など)。
商品名:ミヤコトップ、スパイカル



◆化学的防除

【ダニサラバフロアブル】
ハダニの全発育ステージに有効である。天敵類、ミツバチにはほとんど影響がない。チリカブリダニへの影響は全くないので、放飼、定着後に本剤を散布する方が効果が高い。本剤で死亡したハダニの卵は、チリの餌として有効利用され、チリは増殖を続ける。収穫前日までに、1000倍を散布する。(2回以内)

【スターマイトフロアブル】
ハダニの卵から成虫まで全ステージに効く。天敵類、ミツバチには悪影響はない。チリカブリダニ放飼後に本剤を散布しても全く問題ない。収穫前日までに、2000倍を散布する。(使用回数は1回)

【マイトコーネフロアブル】
神経系に作用すると考えられる殺ダニ剤。カブリダニをはじめ天敵類への影響はほとんどない。イチゴでは収穫前日までに1000倍を散布する。薬剤抵抗性を発達させないため、連用はしない。

【コロマイト水和剤】
成分は土壌放線菌に由来し、ハダニの全ステージ(卵〜成虫)に効果を示すほか、ホコリダニ、サビダニにも有効。カブリダニにも多少影響があるので、時期をずらして使う。収穫前日までに2000倍を散布する。緊急避難的な使用とし、連用はしない。


◆気門封鎖剤

 害虫を窒息死させる薬剤を総称して気門封鎖剤と呼ぶ。アカリタッチ乳剤、粘着くん液剤、サンクリスタル乳剤、ムシラップなどがあり、散布回数の制限がなく、抵抗性の心配もないので、使いやすい。ハダニの卵や静止期の幼若虫はほとんど殺さないので、頻繁な散布が必要になる。カブリダニ類にもある程度の悪影響があるので、導入前に使うのが望ましい。



◆物理的防除

ダニ返し
(ビニールを45度以下の角度に折り返し、ハダニの侵入を防ぐ)





ナミハダニ 黄緑型メス成虫

チリカブリダニ メス成虫

ミヤコカブリダニ メス成虫と卵

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